2011年7月12日火曜日
滅亡の星、来たる―ダイノコンチネント / 山本弘
「星が落ちてくるのはいつ頃なのかね?」
「いつかは必ず落ちてくる?」
「そうだ」「あれが『ワームウッド』と考えてまず間違いない」
現代のアメリカから飛行機がまるごと白亜紀末期へタイムスリップしてしまった!
それから500年、人々はギフトと呼ばれる超能力を得て、生き延びていた。
そしてついに、空に「あの」星が現れる。恐竜たちを滅ぼした、隕石が。
という、山本弘のタイムスリップSF。
山本弘は読みたくなる設定づくりが上手いですね。
今作も設定を十二分に生かした物語で先へ先へと読まされます。
知能の高い恐竜がいたというのもSF心をくすぐってなりません。
原始生活にもどりつつも、知識を継承している人々が災厄に対してどうするのか、というのが物語全体のメインでしょうか。
それと少年少女の成長物語。旅に出た彼らの続きが気になります。
山本弘は、SFとしてとても面白い話をたくさん書きますが、ひとつだけ自分の趣味に合わないところがあります。
それは毎回、科学的でない「愚かな人々」が登場してそれを馬鹿にするような描写にしてしまうところ。
今回は「帰還派」と呼ばれる人々で、「神を信じて善い行いをしていれば、Xデイには救われる」と信じている人々。
何もせずにお題目だけ唱えていて、裏では結局打算ばかりという描写になっている。
そういう人もいるけどそれぞれだよね、で終わらせてくれていいのに。
と学会的な活動を続けていますしそういう人なのは分かっていますが、どうも不快。
これがなければ文句なしに面白いのになあとジレンマを感じてしまいます。
シェアードワールドということになっていて、この本のすぐ後に別の作家が同じ世界設定で1冊書いているようですが、09年からその後続きなし。
続きのない本に手を出してしまうと失敗したな~と思いますが、始めに続き物かどうか確認をしなかったのが悪い。
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