2012年8月7日火曜日

天獄と地国 / 小林泰三

天獄と地国  (ハヤカワ文庫JA)


「人類が太古に住んでいたという、原初の世界さ。そこでは重力が外から内へと向かってたんだろ。」

ハードSFを書かせたら、とことんハードな小林泰三の、短編から長編に昇格した一作。

頭上に地面、足下に星空が広がる世界、
全てのものは手を離しただけで空の彼方へ落ちて行く世界。
人々は僅かな資源を、分け合い、奪い合い、どうしようもなく衰退しながら暮らしている。
明らかに生き物が暮らすには向かない、過酷すぎる世界。

主人公カムロギは、地面の上にある、と神話が言う「地国」を目指して北限の地を目指す。

ちょっと読み進めれば分かるので書いてしまいますが、要するに巨大な宇宙コロニー(的な物)の外側にへばりついているのですね。
例によって出てくる数字を計算すると、世界の全容が詳しく分かる仕掛け、だそうです。

計算結果はこちらへどうぞ↓
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ttsyhysh/diary/di0207d.html#020722

答えが分かるとものすごいセンスオブワンダーを感じることができるんですけどね。
これほどの驚きはなかなか他の人ではないですよ!
でも、読者の何%が計算すると思ってるんだ…?

「リヴァイアス」みたいな怪獣大決戦がメインで、全体的にはスペクタクル。
ナタの出生話は、極限状態の狂気って感じで良かったです。


以下愚痴。
ラストはどう取れば良いかわからずぽかーんとするしかない感じ。
長老ザビタンのネタは、笑うところか悩む。萌えを狙ったのでは、ないよね…?
カムロギ、生活困窮具合と比べてインテリ過ぎない?

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