2011年6月25日土曜日
さよならジュピター 下巻 / 小松左京
「2億5千万人・・・だと?
人類190億人のうち、脱出できるのは、
たったの2億5千万人だというのか・・・?」
「それも、もっとも楽観的な数字です・・・」
という、和製古典SFの名作のひとつ、さよならジュピター、その下巻。
以下ネタバレしまくりなので未読の方はご注意下さい。
上巻ラストでの衝撃的な事故の原因は、太陽系外縁部にまで近づいてきていたミディアムブラックホールだった!
ということで承前。
ところで、この「ミディアムブラックホール」というのは当時の宇宙物理学で想定されていたのかな?
現在のブラックホールのお話では聞いたことがないように思います。
人類のごく一部でも太陽系を脱出させるという大プロジェクト、EX( エクソダス )計画と
迫り来るブラックホールに木星をぶつけるというB・B・J(バイバイジュピター )計画の二本立て。
下巻の見所としてはなんと言っても、EX計画第1弾として天王星軌道からバーナード星系へと出発する、脱出船団のシーンです!
1000隻近い船が、 一部の狂いもなく整然と配置され、一斉に核融合の閃光をきらめかせて
無人探査さえもされたことのない未知の恒星系を目指す!
なんてわくわくしすぎて涙が出ます。
絶望的な状況から、一縷の望みに全てを掛けて全人類的な2大計画を遂行していくというのも燃えるシチュエーションです。
残念だったのは、古代の宇宙人メッセージがなんの意味もなかったこと、かな。
あれだけ上巻で引っ張ったのはなんだったの?と首を傾げるほどのスルーっぷりで、
ブラックホール、という言葉がちょっと関連したくらいで
警告によってブラックホールを発見できたわけでもなく、宇宙人の事情が解明されたわけでもなく・・・。
ジュピターゴーストも結局なんだったのか分からないまま。
長期連載で黒歴史にされた設定のようですよ・・・。
古い翻訳SFを読むと読みづらさにびっくりしますが、
古い和物小説もたいがい読みづらいというのを再確認しました。
小松先生の個人的なクセなのかも知れませんが、「・・・・・・」が多すぎてテンポが悪くて困りました。
句点も多いし、読み手のリズムの取り方にも時代 があるのでしょうかね・・・?
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科学書の受け売りですが、物理学的にはエントロピーの法則の観点から、ブラックホール同士が衝突して分裂することは理論的にはありえないそうです。(それを知った時は残念が気がしましたが・・)
返信削除なお、構想ではパートⅡもあって、主人公たちが宇宙人に救出されたり、鯨は宇宙人の音声パターンを伝えてきたとか壮大なストーリーを考えていたそうで、未完のままになってしまったのは残念です。
こんにちは。
返信削除そうですか、パートⅡの構想があったのですね。
それは、すごくすごく残念です。
壮大なストーリー、読んでみたかったなあ。