サマンサ・ウォーカーは死んだ。
サマンサ・ウォーカーがひとり、病気療養中の自宅でこの世を去ったのは、35歳の誕生日まぢかの寒い朝だった。
それが、彼女という物語の結末だった。
という書き出しで始まる、長谷敏司の近未来SF。
序章で7ページに渡って死の瞬間を描写し、本編はそこに至るまでの、長い、死への物語です。
人間の脳の状態を再現できる、つまり人間の感情や、人間の人格そのものを再現できる、
ITPという言語がメインのSFガジェットです。
感情を人工的に操作したり、コンピュータ上に1から作り出した人間と区別のつかない人格が出てきたり、
イーガン的というか、昨今のSFの最先端テーマと言える1冊。
内容も描写も濃い、重い。
長谷敏司の独特の文体もどうにも読んでて疲れるのですが、それでもぐいぐいと引っ張っていく力はさすが。
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