2012年2月8日水曜日

シュレディンガーのチョコパフェ / 山本弘

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)

 詩人をよこせというのだ。
詩人にだったら重大な秘密を打ち明けてもいいと言ってきた。
しかもそれは、星間文明滅亡の原因に深く関わるものであるらしい。
 


という、山本弘の短編集。

先進波発生装置で世界の消滅をたくらむマッドサイエンティストの表題作「シュレディンガーのチョコパフェ」

時間圧縮装置を付けられたサイボーグの話「奥歯のスイッチを入れろ」

異星人とともに、謎の海賊船を追っていく話「バイオシップハンター」

文明消失の謎を解くため、超文明の末裔に出てこないかと話を聞きに行ったら詩人にしか話さないぞと言われた話「メデューサの呪文」

情報だけやりとりしてエントロピーが変わらないからタイムトラベル出来るよ、という「まだ見ぬ冬の悲しみも」

人類の7パーセントは哲学的ゾンビだった話「七パーセントのテンムー」

実在の人物をなぜかクトゥルフ的ホラー話の主人公にしてしまった「闇からの衝動」

以上7編。
好きなのは「メデューサの呪文」かな。
物質文明を捨てた種族というはなしは良くあるけど、その先が言語文明というのはなかなか面白い。
言語兵器というガジェットもいくらでも広げられそうで楽しい。
「呪法宇宙 カルシバの煉獄」というSFで、「感染」した敵の使う「呪文」を聞くとその人間も感染してしまう話がありました。
宇宙中に広がってしまうかも知れない、という怖さがよく似てます。
「象られた力」も通じるところがありますね。
あと「食前絶後」の言葉とか。

説教くさい、と解説でも言われているのはいつも通り。
説教というよりは愚痴っぽい。
このへんはやっぱりちょっと好きになれない山本弘っぽさです。
主人公たちのおっさんくさい性格も今ひとつ好きになれないし、
「天然無能」がスラング化して「テンムー」になるセンスも合わない感じ。

でもそれでも読んでしまうSFとしての面白さがあるんです…。
アンビバレンス。


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