2012年2月8日水曜日

約束の方舟(上) / 瀬尾つかさ

約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)


 「でもね、きっとそれは嬉しいことなんじゃないかって。」




100年の時を渡る多世代型恒星間移民船。
突然現れた、バガーと呼ばれるゼリー状異星知的生命との戦争と和睦から15年。

戦争で区画の7割が破棄され、人口は6分の1に、宇宙服は数着しかなくなってしまった社会で、
唯一、宇宙服の代わりとなったのが、戦争相手の異星生命バガーだった。
戦争を経験した大人たちはバガーを嫌悪、恐怖するが、
戦争を知らない子供たちは、バガーをかけがえのない友人として、真の共生社会を目指す…という箱庭SF。


恒星間移民船モノは大好きです。
広大な宇宙に乗り出して行く未知への挑戦な感じとか、
それでいて孤立無援でさみしい感じとか、
あと悲愴感とか。
限られた物資、閉じられた空間のなかで工夫があったりするのも好き。
時には出発時の技術を失伝して、ロストテクノロジーとして掘り出したりするのもワクワクします。


主人公は少年少女で、ライトノベルというよりはジュブナイルSFな風味があります。
天才の女の子を追いかける秀才の男の子の構図が、どことなく「サマー/タイム/トラベラー」の雰囲気。

異形の他星生命で、バガーってのは、ベガー@「エンダーのゲーム」を思い出しちゃうけど関係あるのかな?
シンクして船内を飛び回る感じも、エンダーの訓練シーンを想起させるようなところがあります。


読んでから気づきましたが、「クジラのソラ」の著者だったのですね。
他の本も読みたくなりました。

新天地到着まで、あと3年。
後編が楽しみです。


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