2011年2月24日木曜日

大平面の小さな罪




 彼女が言うには、この世界のすべての平面は、
 彼女らの組織――平面管理委員会――の管理のもとにあるのだそうだ。


というSF(すこしふしぎ)連作。

退屈な平面管理の仕事から逃げてきたヒロイン・セーナが
主人公宇田川の元で、平面を自由自在に操ることで大金を稼ぎ豪遊する・・・

という第1話から、各話で平面管理委員会の局員による「小さな罪」が綴られている物語。

もし、平面に描かれている全ての物を自由にできたら、なアイデアSF。
紙幣の図柄からナスカの地上絵まで平面管理委員会が管理しています。
ときどき「局所的な乱れ」が生じるので修正してくれています。
これを出来る人間が犯罪を犯すとしたらどうか。
岡崎二郎はこういうの上手です。


「平面にかけて」おすすめです。

2011年2月13日日曜日

聖☆おにいさん 6




古いジャンプの豪華さ(連載陣の)に感動するブッダとか楽しすぎです。
でもその気持分かります。

ドラゴンボールとジョジョとスラムダンクとダイの大冒険と
タルるートくんとターちゃんと幽☆遊☆白書と男塾が載ってるジャンプって
豪華すぎるもの。


あと表紙がなんか幸せそうです。

2011年2月12日土曜日

折れた竜骨





魔法の存在する世界で、推理の力は真実を突き止めることが出来るのか?

という意欲作。
米澤穂信がデビュー前のネット時代に公開していたお話のリメイクだそうです。

 
文句なし。

舞台は十二世紀末のヨーロッパ。そこに魔法が存在する。
そこで事件が起きて、探偵役が犯人を推理する。
最後には関係者を集めて、犯人を指摘する。
解決に使われるのは、魔法ではなく、論理。

著者はこう言っています。
「読者とのあいだに交す約束事さえしっかりしていれば、その約束事がたとえこの世のものでなかったとしても、ミステリは成立する。」

やっぱりミステリーも面白いなあ。
読後感も、さわやかという訳ではないのだけど、好きです。

2011年2月11日金曜日

初恋ソムリエ




日常ミステリの2作目。

なんか好きです。
荒唐無稽具合がいいバランスです。
やっぱり表紙が爽やかです。

古典部シリーズに雰囲気似てるかな。
日常青春ミステリっていうとこんな感じになるのかな。

思い出が切ないですね。

2011年2月10日木曜日

ちはやふる(11)




 暑いし
 きついし
 疲れるし
 勝てないし
 悔しいし!


もう花野スミレが主人公でもいいかもしれません。
スポーツを語ることって、悔しさを語ることだと思う。

  親にとって
  子供をほどよく放っておくのが
  どれだけ難しくて大切なことか

退出ゲーム




部員獲得に燃える吹奏楽部の主人公と相棒の少年少女が、
部員獲得のためにいろいろ謎を解くという、日常系青春ミステリ。


やりとりが軽快で楽しい1冊。
ストーリーも、やってることも堅実なんだけど
脇役が、何故そこまでという程ちょっと変なのでミスマッチで面白い。

お気楽なお話の中で、ちょっと重いというか繊細なテーマも入れてるのがバランス良くて好きかな。

表紙が爽やかでいいですね。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉  伏見 つかさ



こういう、すごーく読みやすくて楽しいだけの本って大好きです。
ライトノベルは昨今、こういうの作ると中学生男子向けにあの方向に特化しちゃうけど
これはそんなでもないのもいいよね。

今回は、一番衝撃の引きでした。次も楽しみ。

2011年2月9日水曜日

アイアムアヒーロー 5




怖いけど、先が気になる。
ゾンビ物。

面白いことだけは確か。
現在注目のタイトルの1つ。

天冥の標 3 アウレーリア一統 小川 一水





小川一水がやりたい事とやれる事を全てつぎ込み中の大長編、第3巻。

再び舞台変わって、24世紀。
木星に浮かぶ伝説の巨大炉、ドロテア・ワットを巡る物語。

「1」とも「2」ともまた違う、太陽系内空間が舞台です。
こんな風にぴょんぴょん舞台や時代が飛んで、
すこーしずつキャラクターや、組織なんかに繋がりがあるっていうのは面白いですね。

前の巻をひっくり返して、「ああ、ここはこういう繋がりなんだな」と見つけるのがまた楽しい。
こういう、設定の裏の繋がりを楽しむのはSF的(というかSF者的)な感じがします。

        アンチ・オックス      アンチョークス
この巻での「酸素いらず」が1巻で「海の一統」になってるのとか
    プルート・スポット
検疫が「 P  S  チェック」になっているところとか
カヨがマツダ(MHD)製だったりするところとか(ホンダじゃないんだ)が
ほほう、と思ってしまうところ。


4巻、楽しみです。
EGFとか、十二国記みたいにならないという安心感もうれしい。

でも、男の娘は必要だったのですか?小川さん・・・?

博物戦艦アンヴェイル2 ケーマの白骨宮殿 小川 一水




世界の謎的事物を蒐集するぞ戦艦物語、2。

SFの名手、小川一水ですがこのシリーズはファンタジー。
ハヤカワ以外の本は、読むのは後でいいと言われてしまう小川一水、その名に違わないアンヴェイルシリーズです。

地理的な世界観はすきだけどね。
魔法というものが、論理によって構築されない「なんだか分からないし、説明も出来ない物」というところも好きです。

昨今の魔法ものというと、
論理的に説明可能な物、追証・検証可能な物、つまりその世界に置ける科学
であることがむしろステータスだったりで、それに対する原点回帰というかアンチテーゼなのが好き。


しかしそれを除けば、別に小川一水でなくてもいいという感じ。
なんだろう、このつまらなくないけどイマイチな感じは登場人物が若いのがいけないの?

2011年2月8日火曜日

ちはやふる(10)




  脳の中の

  使ってなかった部分に

  めきめきって血が流れ出す。




最近、脳みそ使ってないなあ。

2011年2月7日月曜日

TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR





  我、地に平和を与えんために来たと思う勿れ。
  我、汝等に告ぐ。然らず、むしろ争いなり。
  今からのち、一家五人あらば三人は二人に、
  二人は三人に分れて争わん。
  父は子に、子は父に。母は娘に、娘は母に。

パトレイバー2 the MOVIE のノベライズ。
監督が書いてます。ストーリーは一緒。


映画の方が面白い。
と思うのは映画を先に観ているからかな?
音楽やその他が良すぎるのがいけない。

削除されたいくつかのエピソードは嬉しいです。
松井さんの後藤隊長に対するモノローグとかが。

2011年2月6日日曜日

20億の針




翻訳ものの、特に古典SFなんか読んで読みづらさに逆に快感を覚えるようになると末期です。

寄生生物な宇宙人の刑事が犯人を追って地球に不時着して、
現地の少年に協力を依頼する。
犯人も寄生生物だが、20億の人間(当時の地球人口)の誰に取り憑いたかは全く分からない。
これは藁山の中の針を探すようではないか!
というお話。


20億と言っておきながら容疑者は一桁で話は進んでいきますが。

ウルトラマンの元ネタの一つとか。

2011年2月5日土曜日

宇宙の果てのレストラン




冒頭には次のように書いてある。

  この宇宙の目的がなんであり、なぜ宇宙が存在するのか
  ---その答えをあやまちなく見いだした者あらば、
  宇宙はたちまち消え去ってはるかに奇怪で不可解なものに
  とってかわられるだろう---そういう理論がある。


そしてその次のページにはこう書いてある。

  それはすでに起こってしまった---という理論もある。



数ページ立ち読みして、「良く解らん」と感想を抱いたとしよう。
それは全く正しいので、最後まで読むことをおすすめする。
「良く解らんけど面白かった」
と思うかも知れない。
「良く解らんし、イギリス人とは仲良くなれないな」
と思うかも知れない。
読んで損はしない、とはとても言えない。

ひとつ言えることは、バカSFの一つの究極であるということだけである。

2011年2月4日金曜日

銀河ヒッチハイク・ガイド





「人生、宇宙、すべての答え」に付いてのありがたいガイド。
その答えを求めるものは、本書を読むといい。ただ、グーグルに訊いても教えてもらえます。


英語圏のSF者にバカウケのナンセンスコメディ。
レッドドワーフが好きなら迷わずGO。


宇宙に出るときに覚えておいたほうがいいことは一つ、「パニクるな!」
宇宙に出るときに持って置いたほうがいいものの一つ、「タオル」

ところで、人間は地球上で3番目に賢い動物とされています。
2番目はイルカ。

2011年2月2日水曜日

ペンギン・ハイウェイ




最近好きです、森見登美彦。

ある日、住宅街の中の空き地にペンギンの集団が現れる。
小学4年生のおませで賢い主人公のアオヤマくんがその謎を研究する。

というお話。
アオヤマくんは、いろいろな研究を抱えていて、歯医者のきれいなお姉さんの研究とか、学校の裏の小川の研究とかしている。
妨害にあいながらも、同級生と3人でペンギンについて考えていくのです。

森見さんは雰囲気が好きです。
シュールな感じが好き。
変なことが起きても別に説明なんかしないところが好き。
いろんな出来事が起きてハラハラドキドキしながら読めます。