2012年10月30日火曜日
ゼロ年代SF傑作選 / SFマガジン編集部
なんでも奴が言うにはーーこの「大空」の重力方向の遥か彼方、つまりずっとずっと下に、大空と同じくらい広大な個体の平面があるのだという。
そんなものがあってたまるか、と私は思った。
という、秋山瑞人の「おれはミサイル」ほか7篇を収録の日本SFのゼロ年代を代表する「リアル・フィクション」を担う作家たちによる短編集。
秋山瑞人「おれはミサイル」
冲方丁「マルドゥック・スクランブル"104"」
長谷敏司「地には豊穣」(「あなたのための物語」のスピンオフ)
から桜坂洋、新庄カズマ、と素晴らしいメンツが続く。
スピンオフが3つも入っているのは残念な気もするが(全部読んでいるので問題はないにしても)、それぞれ純粋に短編として楽しめるのでまあ良し、かな?
秋山瑞人の陸海空三部作のひとつを読むためだけに手にとっても後悔はしない一冊。
陸はいつ読めるんだ。
ゼロ年代には小川、野尻、林、小林、飛もいるし、円城、伊藤もあることを考えると、なんと豊穣なSFの時代であることでしょう。
10年代もよろしくお願いします。
メグとセロンVII 婚約者は突然に / 時雨沢恵一
「セロン君は、私を好きだと思いますか?」
という、メグとセロンⅦ、最終巻。概ね大団円?
大変楽しめました。
メグの混乱ぶりが可愛いです。
部員たちの信頼してる感と、見守り様が好きです。
予測を外れるような展開にはならない安心感がこのシリーズのいいところです。
そしていい人ばっかり出てくるようでいて、スパイスの様に悪人が登場します。
結局、後のシリーズほど巻数が多いという事になってしまってますね。
こうなるならアリソンももうちょっとやってくれても良かったのに…と思ってしまうのはファン故か。
ちょっとあっさり終わってしまったような感があって物足りないけれど、
来年には「アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロン(仮題)」があるのでそちらを期待して待つことにしましょう。
2012年10月3日水曜日
人類は衰退しました ⑥ / 田中ロミオ
2012年10月2日火曜日
人類は衰退しました ⑤ / 田中ロミオ
「それは、たやすいねがいです?」
人類は衰退しました、その5冊目。
待望の過去話の登場で、大増ページでお送りします。
まだ9歳の子どもだった「わたし」の、学舎での回想なお話、「妖精さんの、ひみつのおちゃかい」
と、
なぜか(もなにもないですが)世界がドット絵になってしまった「妖精さんの、いちにちいちじかん」の二本です。
ひみつのおちゃかいは、いかにも最終回って感じですが、子ども特有のさみしさが語られていてしっとり読めます。
期間も10年ほどを中編で駆け抜けるので、卒業やラストシーンでは長い時間を感じてしんみり。
今までとはかなり毛色が違いますが、このお話は好きです。
「クリケット」の小ネタも好き。
二話目で通常進行に戻ってるので安心です(?)
「不条理レベルが低いと、どうなるんでしょ?」
「しりあすになる」「すとーりーがくらくなる」「きれいごとがなくなる」「しゃれですまなくなる」「ばくはつおちでほんとにしぬ」
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