2012年9月11日火曜日
人類は衰退しました④ / 田中ロミオ
「フフ……落ち込むときは、狭いところに限りますよね……?」
平常運転の第4巻。
里で食べ物が不足して困ってたら、いつのまにか不審な(明らかに妖精さん由来の)食べ物などなどが現れたので工場に調べに行くお話と、
妖精さんの人口過密を解消するために移住しようとしたら漂流して、島の土着植物を遺伝子改造するなどして食べ物(とお菓子)をゲットしようとするお話の2本です。
…食べ物の話ばっかりですね?
文明の衰退期には食べ物、大切ですからね。
工場探検は、「チャーリーとチョコレート工場」っぽくなるのかなと思ってたらちょっと違いました。
あんな感じで探検するのも見てみたかったですね。
この方向でのんべんだらりとやっていってもらえると嬉しいな。
シリアスはたまでいいと思うのですが。
「……むのうで、ひんじゃくな、ぼくら、をみすてないで?」
2012年9月9日日曜日
人類は衰退しました③ / 田中ロミオ
「見ないで。醜いわたしを見ないでください」
人類がゆるやかな衰退を迎えてはや数世紀、なファンタジー風SF③。
今回は大長編です。映画版です。
ヒト文明についての記録を残そうという「ヒト・モニュメント計画」。
人類文明末期の、過去の未来都市遺跡を探検することになった「わたし」と「助手さん」は
何百年ぶりかに電源投入された都市の中で遭難してしまいます。
体力を使いはたし、水も尽き、命の危機の只中で見たものとは。
過去の文明視点のおかげで、妖精さんの謎や情報断絶の理由などにも少し回答が与えられてSF的に嬉しいお話でした。
スタートレックネタも出てくるし(オヤジ)。
それと滅びた未来技術が垣間見れたのも。
「スクリプトが組める人間ひとりいればどんな建物・機器・部品でも作れる流体金属、ネット上のサンプルソースで日曜大工ならぬ日曜工学」
とか「塩基計算機で見せかけの魂を得た機械」とか、上手く使ってて楽しいです。
結末も大長編らしくまとめられてます。こういう解決策か…!と。余韻もあって好きな感じですねえ。
巻を重ねるごとに満足度が上がってます。次も楽しみ。
「いきてはおれぬです?」
「あれはくるです」「ひかりとかはへいきなんだけど」「でんじばにはいられぬですな」「むりむりだー」「かきみだされるゆえ」「くるおしくなることも」「いきるちからをうしなうとのこと」「かなしみをもたらしすぎます」「こまるー」「だから」「にげなきゃです?」
2012年9月6日木曜日
人類は衰退しました② / 田中ロミオ
「こ、このスプーンです!このスプーンがわたしをこんなポータブルな体に!持ち運びのしやすい体に―――っ!」
ほのぼの黄昏SF、②。
よりSF色強くなっているようです。
ドラえもんの道具的に妖精さんの不思議アイテムで大変なことになる「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」と、
タイムリープでループでバナナでスリップな「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」の2本でお送りします。
タイムスリップ物は楽しい。
ネタバレを避けて感想を書けないのが残念ですが、「すぐおいしいけど、すごくとおくにとばされるばぐが」あったばーじょんのバナナで飛んだ先のジョシュサンが二重の意味で関わってきているあたり上手いな〜と。
不条理込みでなんでもアリ、な妖精さんのせいにしておけばどんな話でも出来るこのシリーズは可能性無限ですねえ。
続刊でどんなトンデモに発展してくれるのか楽しみです。
2012年9月5日水曜日
千年ジュリエット / 初野晴
「教えて欲しいんじゃなかったのか?」
「な、なにをですか?」
「ハードロックにきまっているだろうっ」
日常ミステリ"ハルチカ"シリーズ、第4弾。
吹奏楽部で全国を目指す真面目な青春ミステリの皮を被って、どこまで本気で読めばいいのかわからない不条理ギャグが本質と思わせて、
オチは重めのテーマでしんみりずっしりさせる異色ミステリです。
爽やかな表紙は詐欺です。トラップです。
今回は文化祭を巡る連作短編。
一番アホだと思ったのは「失踪ヘビーロッカー」。
ハードロックで人生を表現するアメリカ民謡クラブの部長が、本番直前失踪した!
彼はタクシーの運転手にこう告げていた。
「そのまま法定速度を守って、俺がいいというまでこの街をぐるぐるまわるんだっ」
部長の身になにが起こったのか!?
…アホです。
トリックについて考えるのが面白かったのは「決闘戯曲」。
右目が見えず、左手が使えなかった三人の決闘者。
彼らは如何にして勝利したのか?
締めの「千年ジュリエット」は最もアホさがなくてじっくり楽しめてこれが一番好きかな。
大学病院の一角で密かに集まりを開く5人の入院患者。彼女たちが始めたネットでの恋愛相談。
その1人が南校の文化祭を訪ねてくる。
○○トリックは、もうちょっと引っ張って欲しかったかも。
ーーキョウコが座るばしょには、紫色のバッジとイチゴミルク味の飴が置かれていた。
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