2012年8月25日土曜日

岳 7 / 石塚 真一


岳 7 (ビッグコミックス)



 「なのに、その日遺体になった3人と、 
  救助隊を迎えたジェニーレイクという湖は、 
  どこまでもおだやかに澄んでいて… 
  山は… 
  信じられない程、 

  美しいんだ。」 


人が死んだり、死ななかったりする漫画。 
読んで、山に登りたいとは、思わない、かな。 

人類は衰退しました1 / 田中ロミオ

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)


 「単純に言えば、妖精はたくさん集まると面白いことをおっぱじめる、ということだ。 
 人間以上の知性とリソースと効率と情熱を総動員してな」 


ゆっくりと人口を減じ、科学技術も失われ、都市は放棄され、生活圏も縮小し、今にも消え去ろうとしている、人類。 
そして、引退したヒトは、地球人類の座を彼ら「妖精さん」に明け渡した。 
という、「人類は、衰退しました」。 

ほのぼの終末モノと言うことで「ヨコハマ買い出し気候」かと思いましたが「ねこめ~わく」の方でした。 
小さくて可愛い生き物達はヒトが大好きで、ヒトの状況はとても寂しい物ですが、悲壮感はありません。 
なにしろ後を継ぐ者たちがいるのですから。と言うと、ほら一緒。 

主人公は、ヒト最後の学校を卒業した「わたし」。 
卒業後の進路を、妖精とヒトの仲立ちをする「調停官」に求めて故郷に戻ってきたところから始まります。 

妖精さんを捕まえて名前を付けたら女神に祭り上げられたり、妖精さんが一夜にして未来都市と巨大ロボを作り上げたりする第一話と、 
妖精さんが折り紙で光合成原核生物を作ったら 
進化しちゃって大変…?な第二話で構成されています。 

二話目のオチは、SukosiFusigiな感じでとても良かったです。 
内容の薄い、ただのほのぼのかと思っていたので予想外に当たりでした。 
ヒト以上の知性を持った後継種族が、ぽやんとした子供もみたいな妖精、というのも面白い。 
続刊にも期待です。 

 「にんげんさんだー」「うおー」「まじなのです」「ちかよってもへーき?」「おこられない?」「これからどーなってしまうのかー?」「あやー」「おおきいですー」「ごぼてんすきです?」「ひえー、ひえー」「のっけてくださいー」 

2012年8月7日火曜日

天獄と地国 / 小林泰三

天獄と地国  (ハヤカワ文庫JA)


「人類が太古に住んでいたという、原初の世界さ。そこでは重力が外から内へと向かってたんだろ。」

ハードSFを書かせたら、とことんハードな小林泰三の、短編から長編に昇格した一作。

頭上に地面、足下に星空が広がる世界、
全てのものは手を離しただけで空の彼方へ落ちて行く世界。
人々は僅かな資源を、分け合い、奪い合い、どうしようもなく衰退しながら暮らしている。
明らかに生き物が暮らすには向かない、過酷すぎる世界。

主人公カムロギは、地面の上にある、と神話が言う「地国」を目指して北限の地を目指す。

ちょっと読み進めれば分かるので書いてしまいますが、要するに巨大な宇宙コロニー(的な物)の外側にへばりついているのですね。
例によって出てくる数字を計算すると、世界の全容が詳しく分かる仕掛け、だそうです。

計算結果はこちらへどうぞ↓
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ttsyhysh/diary/di0207d.html#020722

答えが分かるとものすごいセンスオブワンダーを感じることができるんですけどね。
これほどの驚きはなかなか他の人ではないですよ!
でも、読者の何%が計算すると思ってるんだ…?

「リヴァイアス」みたいな怪獣大決戦がメインで、全体的にはスペクタクル。
ナタの出生話は、極限状態の狂気って感じで良かったです。


以下愚痴。
ラストはどう取れば良いかわからずぽかーんとするしかない感じ。
長老ザビタンのネタは、笑うところか悩む。萌えを狙ったのでは、ないよね…?
カムロギ、生活困窮具合と比べてインテリ過ぎない?